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日本では「多年にわたって社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」としておなじみの敬老の日。ほかの国では、どんな過ごし方をするのでしょう?そもそも、日本以外にも敬老の日はあるのでしょうか?
海の向こうの国々の「敬老の日」とその習慣、それに近い祝日について、いくつかご紹介します。
まだまだ定着していませんが、アメリカにも敬老の日はあります。9月の第2日曜日、『National Grandparents' Day(祖父母の日)』。日本での敬老の日とほぼ同じ意味をもつ日です。
その起こりは、1973年のこと。ウエスト・バージニア州に住むひとりの主婦が、自分の祖父母と、ナーシングホームの孤独な老人たちのために始めた慰問活動が話題となり、各地へ広がっていったそうです。そして日本に遅れること24年、1978年に「年輩の人を敬う日」「孫が祖父母に対し感謝・尊敬の意をあらわす日」として、正式に制定されました。
日本とはまったく違う起源をもちながら、同じ月に祝うこととなった敬老の日。なんとも素敵な偶然ですね。アメリカでは、孫が自分の祖父母へグリーティングカードや花をプレゼントするのが一般的。ちなみに敬老の日に定番の花は、Forget-Me-Not(忘れな草)です。
韓国には「老人の日」と呼ばれる日があるそうですが、その存在は国民の間でもほとんど知られておらず、特にプレゼントをしたりお祝いしたりする習慣はないそう。しかし、韓国には目上の方を敬う「仁」の思想が強く根付いているため、目上の方たちを敬い尊重するのは当たり前のことなのです。「老人の日」があまり浸透していないのは、日頃から年長者を敬愛する、こういった文化が背景にあるからかもしれません。
韓国では、バスでも電車でも、目上の方が乗ってきたらすぐ席を譲るのが当たり前。家に帰ったらまず祖父母に挨拶をし、食事も祖父が箸をとってから始まります。お酒も目を合わせては飲まず、必ず横を向いて飲むのが韓国の風習。もちろん喫煙も、祖父母の目の前では禁物です。まったく知らない目上の方であっても、喫煙しているのが見えないよう配慮するのが当然の礼儀。韓国には、日本とは違うそんな風景が日常に存在しているのですね。
中国での敬老の日は、「重陽節」と呼ばれる日。旧暦で9月9日の節句を指します。昔の人が9を「陽数(奇数)」と呼ぶことから、9がふたつ重なる9月9日を「重陽」としたそう。「茱萸節(シュユセツ)」とも称されるこの祭日は、中国古代の戦国時代にはすでに風習として定着し、漢朝(紀元前206年〜紀元220年)から盛んになったそうです。
現在でも重陽節の間は、高地に行ったり山登りをしたり、菊の花を観賞したり、また重陽の蒸し菓子を食べたりと、故事にならって無事を祈る人が多いそうです。そしてまた「敬老の日」でもあるこの日は、中国各地でお年寄りのためのさまざまな行事が行われるそうです。
国や由来は違えど、人生の先輩を敬い尊重する気持ちは、きっと万国共通なのですね。
年に一度のこの日は、そんな国境を越える敬老の気持ちを、しみじみと感じてみるのもいいかもしれません。
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