─ 今月のこの花 2010年3月 マーガレット ─
恋占いの花として昔からヨーロッパの少女たちに愛されているマーガレット。画家マルク・シャガールが描いた『恋人たちとマーガレットの花』には、「私にとって花は人生の至福を意味するものだ。人は花なしでは生きる事はできない」と記されています。
「恋人たちとマーガレットの花」をはじめ、花をモチーフにした作品を数多く残し「愛の画家」と呼ばれたマルク・シャガール。1887年ロシアのユダヤ人家庭に生まれた彼は、中等学校時代から画家への道を志すようになり、その才能を開花させます。
やがてユダヤ人宝石商の娘ベラと出会い、1915年に結婚。その後の作品の多くが彼女に捧げられたといわれています。彼は「私は貧しく、身近に花もなかった。ベラが初めて私に花を持ってきてくれた」「私にとって花とは、人生の至福を意味するものだ。人は花なしでは生きることはできない」などの言葉を残しています。シャガールにとって花は最愛の女性ベラそのものであったといえるのかもしれません。
さらに晩年は南仏のサン・ポール・ド・ヴァンスに移り住みます。自然にあふれ花々に囲まれたこの土地で送った余生は、花を愛したシャガールにとって、ふさわしいものであったといえるでしょう。