澄んだ秋空の下に咲く青紫色の花。その清廉で気高い姿は古来より日本人に愛され、「古今和歌集」や「枕草子」でもリンドウの花が取り上げられています。群生せず一本ずつ咲くことや、晴れた日にしか花が開かないのも特徴。根は薬効があり漢方に利用されています。

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秋の野山に咲くリンドウは、日本で古くから愛されてきた野花です。「枕草子」の中では、リンドウの美しさと物哀しさについて、次のように語られています。

りんだうは枝ざしなどもむつかしけれど、こと花どものみな霜枯れたるに、いとはなやかなる色あひにてさし出でたる、いとをかし

「枕草子」作者といえば清少納言。清少納言は中下流の貴族出身で、上流貴族と結婚した後、一女をもうけ経済的にも安定した生活をしていました。28歳頃に、一条天皇の后である定子お付の女房として仕える話が舞い込み、宮仕えを始めました。宮廷の華やかな暮らしが性格にあっていたのか、清少納言は持ち前の才気を発揮し、女房としての地位を確立していきました。
宮仕えの間に書かれた「枕草子」は、千年たった今も、私たちに四季の移ろいのすばらしさを教えてくれます。