お年賀のお話「お年賀の風習について」2025年

お年賀に贈る花

現在、2025年のお年賀に向けて特集を企画中です。2025年のお年賀特集をお楽しみに!

お年賀のお話
お年賀の風習について

年末から始まる、お正月を迎える準備。年賀状やお年賀の手配、お節料理、門松やしめ飾り、鏡餅といった正月飾りの準備など、やるべきことがたくさんあります。この正月飾りとは、古来から大切にされてきたしきたりであり、お飾りのひとつひとつに大切な意味があります。
正月飾りの由来や意味、あわせて正月飾りと一緒に飾りたい花についてもご紹介します。

正月飾りについて

お年賀のお話 お年賀の風習について

正月飾りは、お正月期間に特別に用意されるお飾りです。時代や地域によって異なりますが、代表的なものとして、門松、しめ飾り・しめ縄、鏡餅などが挙げられます。
この正月飾りは、新年に年神(としがみ)様をお迎えし、祀(まつ)るために行われてきたと言われています。年神様とは、年に一度、お正月に各家庭に訪れる神様です。新しい年とともにやってきて、その年に五穀豊穣の実りをもたらし、人々に生命力と幸せを与えてくれると信じられていました。「年(歳)」はもともと穀物を指す「登志」と表記されていたため、年神様は穀物を司る神様と考えられていました。
また、この年神様はご先祖様であるという考え方もあります。ご先祖様の霊は普段は山に住み、春になると人里に降りてきて田の神様となるという信仰です。新春のお正月はご先祖様が最初に私たちのもとにいらしてくださる期間であるため、正月飾りでもってお迎えの準備をしたとも言われています。
正月飾りには、それぞれに由来や意味があります。門松、しめ飾り・しめ縄、鏡餅について、飾り方とともにご紹介します。

門松

お年賀 門松

お正月に家の門の前などに立てられる、松・竹・梅でを使った一対の正月飾りです。門松を飾る意味は諸説ありますが、年神様が家にいらっしゃる際の目印であるとされ、また、神様が降りてきたとき、依り代(よりしろ)として宿る場所とも言われています。そして、新年を迎えるにあたり「玄関先を清め、悪い気が入らないように」という意味も持っています。
門松に使われる松竹梅はもともとお正月に欠かせないもので、「歳寒三友(厳寒三友)」と称されてきました。一年中葉を落とさない常緑樹の松は、古来より神様が宿ると信じられてきました。「祀(まつ)る」と語呂が似ていることもおめでたいとされています。竹は短期間でぐんぐんと育つことから、生命力の象徴です。また、竹の均一な節目が「節操」、まっすぐに伸びる様子が「折り目正しさ」を表します。そして、かぐわしい香りを漂わせる梅は、新年にふさわしい紅梅という色味とともにおめでたい花とされてきました。このように縁起の良い松竹梅が用いられた門松を飾ることで、年神様に気持ちよく訪問していただけるとされています。
門松の飾り方は、「年神様への目印」という意味があることから、玄関先に設置するのが正式なかたちです。マンションなどの集合住宅では、玄関先に大きな門松を置くことは難しいですが、小さなサイズの門松もありますので、玄関の靴箱の上などに飾ってみてはいかがでしょう。

しめ飾り・しめ縄

お年賀 しめ飾り・しめ縄

しめ縄は注連縄・〆縄などとも表記され、神域と外界を隔てる結界の役割を担う縄です。神社やご神木などにも用いられます。しめ縄で囲われた領域は不浄のものが侵入せず、その神聖性が保たれると言われています。しめ縄自体はお正月特有のものではありませんが、お正月期間のものを特に「年縄」と呼ぶこともあります。
しめ飾りは、そのしめ縄にお正月らしく縁起の良い装飾物を取り付けた正月飾りです。この装飾物には、古くからよく用いられる植物がいくつかあります。ひとつはシダ科のウラジロ(裏白)。葉の裏面が白っぽい色をしていることが特徴で、この白色が年賀にふさわしい清らかな心を表すと言われています。また、対照的に広がる葉の形から、夫婦和合・夫婦円満という意味もあります。
もうひとつはユズリハ。若葉が出ると、古い葉が落葉するという特性があり、これが「次の世代に譲る」と考えられたことが名前の由来です。そこから「次世代への継承」「子孫繁栄」が連想され、おめでたいものの一つに数えられるようになりました。
また、ミカンと似ているダイダイという果実も、しめ飾りに使われることがあります。「ダイダイ」という名称が「一族が代々続いていく」こと、加えてダイダイは一度実をつけると何年も木から落ちないことから、長寿の願いを込めてしめ飾りに飾られます。
そのほか、白や赤の紙や布を使って折られた紙垂(しで)を使った幣束(へいそく)もしくは御幣(ごへい)や、飾り紐として水引が使われることもあります。
しめ飾り・しめ縄は神域を守る結界として、玄関や各部屋の出入り口、神棚、キッチンやトイレなどさまざまな場所に飾られます。

鏡餅

お年賀 鏡餅

鏡餅の餅は、歴代天皇が継承してきた三種の神器の中の、青銅で作られた円形の八咫鏡(やたのかがみ)を模していると言われています。また鏡餅の上に乗るダイダイは三種の神器の八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を、鏡餅と一緒に飾られる串柿(干し柿を串に刺したもの)は三種の神器の天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)をそれぞれ表現しているとされています。
餅を大小重ねて陰と陽を表している、円満に年を重ねるという願いを込めているなど、さまざまな説があります。地域によって風習にも違いがあり、紅白の餅を使ったり、三段重ねにしたり、丸ではなく四角い餅でお供えするところもあるようです。
ダイダイや串柿のほか、ウラジロやユズリハなど縁起物を一緒に飾ることが一般的です。また、「喜ぶ」にかけた昆布や、長寿の象徴である伊勢海老などを飾る場合もあります。
鏡餅は供物でもあり、同時にご神体でもあるため、神棚や床の間に飾ることが正式とされていますが、床の間などがないお宅の場合は、リビングなどご家族皆さんが集まる場所に飾りましょう。
お正月のあいだ年神様にお供えした鏡餅は、1月11日の「鏡開き」の日に、今年一年の無病息災を願いながらいただきます。

正月飾りの時期と片付け

正月飾りはいつから飾り、いつまでに片付ければいいのでしょうか。また、片付けるにはどのような方法があるのでしょうか。

いつから飾る?

12月13日は「正月事始め(ことはじめ)」にあたり、昔はこの日に煤払い(すすばらい)と呼ばれる大掃除を行い、それから年神様をお迎えするために門松など正月飾りの準備を始めていました。この日以降であればいつ正月飾りを飾り始めても問題ありませんが、現在の日本では、12月25日まではクリスマスの雰囲気だというお宅が多いのではないでしょうか。そのため、25〜26日にクリスマス飾りを片付け、続いて正月飾りの準備を始めることが一般的だと思われます。
ただし、12月29日は「9」が入っていることから、おめでたい準備には向かない日と言われています。また、31日に飾りつけを行うことも「一夜飾り」と呼ばれ、避けた方が良いとされています。

正月飾りの片付け

昔は小正月(こしょうがつ)にあたる1月15日に正月飾りを片付けていました。ちなみに、なぜ1月15日を「小さな正月」と呼ぶのかというと、旧暦では月の満ち欠けをひとつの区切りとしており、新年最初の満月が旧暦1月15日であったため、もう一度迎えるおめでたい日とされていたためです。時代は流れ、いつしか小正月の概念は薄れ、近年では「七日正月」と呼ばれる1月7日に正月飾りを片付けることが一般的となりました。

正月飾りの片付け方法

正月飾りはどのように片付ければいいのでしょうか。
小正月などには、神社で「どんど焼き」と呼ばれる火祭りが行われます。これは、正月飾りはもちろん、旧年中に大切にしていたお守りや書初めで書き損じてしまった紙なども一緒に燃やしてお見送りをする風習です。都市部では、近年は安全上の観点やダイオキシン対策等の理由からどんど焼きを行う神社は少なくなっています。近場でどんど焼きが行われている場合は、貴重な機会ですのでぜひ参加してみてはいかがでしょう。
どんど焼きを行う神社が近くにない場合は、お役目を終えた正月飾りは各ご家庭で処分します。大きめの紙に正月飾りを置き、塩を少量かけて包み、手を合わせて感謝の気持ちを伝えましょう。他のごみとは一緒にせず、正月飾りだけのごみ袋に入れ、地域のごみ捨てルールに従って捨てます。
鏡餅は、1月11日の「鏡開き」にお雑煮やお汁粉などにして家族みんなでいただきます。鏡餅は、刃物を使わず木槌などで叩いて割ることが習わしです。これは、鏡開きが武士を中心に広まった風習のため、刀で餅を切るのは切腹を思わせ縁起が良くないとされていたためです。「開く」という前向きな言葉を使っているのも、こういったゲン担ぎの意味合いが強いものです。
江戸時代までは、鏡開きは1月20日に行われていたようですが、この日に江戸幕府三代将軍徳川家光公が亡くなったため、1月11日に移動しました。地域によっては1月20日のままのところや、それ以外の日程のところもあるようです。

お正月に飾りたい花

お年賀 お正月に飾りたい花

お正月は、ご家族やご親戚、友人やお世話になった方々と集まり、お節料理を囲んで和やかに過ごすというご家庭も多いのではないでしょうか。お客様を迎える玄関や客間にお正月の花を飾れば、その場がめでたく華やかなものになります。
お正月を彩る花といえば、梅や松などが一般的です。また、千両(せんりょう)、万両(まんりょう)と呼ばれる花も縁起が良いためよく使われます。小判を思わせる名に加えて、寒い冬でも赤い実をつけ、それがなかなか落ちない生命力は新春にふさわしく、花言葉も「富」「財産」と縁起の良いものです。千両・万両ともに赤い実をつけるので混同しがちですが、万両の方が一房の実の数が多くなります。ほかにも、菊や蘭、ユリなど、和の雰囲気が感じられる華やかな花がよく選ばれています。
お年賀として花をお贈りする場合は、12月26日〜1月7日頃までにお贈りしましょう。何かと慌ただしい年末年始、玄関やリビングなどに花器いらずでそのまま飾れるアレンジメントをお贈りすれば喜ばれそうです。また、 花がお好きな方へのお年賀ギフトには、花鉢もおすすめです。冬に可憐な花を咲かせるシクラメンや、葉の色が美しい葉ボタン、「幸福が飛んでくる」「清純」などの花言葉を持つコチョウランがおすすめです。
お年賀で花を贈る際の一般的な相場は、義理のご実家やご親戚であれば3,000円台〜4,000円台、ビジネス上のお付き合いがあるお相手であれば5,000円台、仲人様や恩師など、特別にお世話になった方であれば10,000円以上の花が目安です。