命日のお話

命日に贈る花

命日の意味とは?どんな過ごし方をすれば良い?
命日について

命日に贈る花

大切な方の命日。命日にはどんなことを行い、どうすればご供養になるのでしょうか。命日のもつ意味や過ごし方、お供え物・花の選び方などをご紹介いたします。

祥月命日とは?法要・過ごし方など

故人が亡くなった月日と同じ月日を「祥月命日(しょうつきめいにち)」または「年忌(ねんき)」といいます。たとえば、6月15日に亡くなった場合、次の年から毎年訪れる6月15日が「祥月命日」です。
祥月の「祥」はめでたい、幸いなどの意味を持ちます。なぜ「祥」の字を使うことになったのでしょう。
「祥月」とは「正月忌」を省略した「正月(しょうつき)」が由来であり、年始の「正月(しょうがつ)」としばしば混同されていたため、古代中国の儒学者の経典である「礼記(らいき)」にならい、一周忌を「小祥忌」、2年後の三回忌は「大祥忌」とし、ここから「正」に「祥」の字を当てることとなったという説があります。「祥」は「さいわい」と読むめでたい字であり、凶から吉へ変化するという意味が込められています。
祥月命日には、ご仏壇に花や食べ物をお供えするほか、お墓参りへ行くなどして供養を行います。また、祥月命日に行われる供養の中でも重要とされるのは、一周忌や三回忌、七回忌といった法要です。法要では、親族や故人の友人が参列し、僧侶による儀式のあとに会食を行い、故人を偲び供養します。

月命日とは?過ごし方など

毎月訪れる、命日と同じ日を「月命日」または「月忌(がっき)」といいます。たとえば、6月15日に亡くなった場合、月命日は毎月15日となります。
月命日には、祥月命日のような「弔い上げ」のようなものはなく、故人を想う方がいる限り永久に続きます。
月命日の供養の方法については各ご家庭の考え方による部分が大きいですが、故人が好きだった食べ物や飲み物をご仏壇へお供えし、花を供えてお焼香するのが一般的です。お墓へお参りをしたり、家に住職を呼んでお経をあげてもらう「月参り」を行うご家庭もあります。
亡くなった日が小の月には訪れない31日であったり、2月29日の閏日であったりした場合は、命日より前倒しでご供養や法要を行う場合もあります。
月命日は、故人との時間を思い返すことで、故人を変わらず大切に想い続けていることを改めて確認できる大切な日です。

身内の命日を迎えたら

祥月命日や月命日には、故人との想い出を偲び、冥福をお祈りしましょう。
ご仏壇に故人が好物であったお菓子や飲み物、お花をお供えし、お線香をあげます。ご仏壇やお墓は、命日には特に念入りに掃除します。
供花は、三周忌までは白や淡い色を基調とした花を供えることが一般的ですが、身内であれば故人が好きだった花をお供えしても良いでしょう。

お世話になった方の命日を迎えたら

身内ではなく、お世話になった方や親しかった方の命日であれば、その方のお家のご仏壇やお墓参りをするという方も多いでしょう。ご供花やお供え物をお持ちして、故人を偲びましょう。
ご供花の花の種類に決まりはありませんが、三周忌までは白や淡い色を基調とした花を供えることが一般的です。菊やカーネーション、ユリやデンファレ、グラジオラス、トルコキキョウなどがよく選ばれます。
ご供花のスタイルは、アレンジメントであれば花器がいらずそのまま飾っていただけます。花束は、ご仏前や墓前などに一対でお供えする場合に重宝されます。
お供え物に関しては、魚や肉などの生ものは避け、日持ちのするお菓子などを選ぶと良いでしょう。仏教では偶数は「割り切れる」ことから、故人の魂と現世の絆が切れてしまうとされているので、香典の金額やお供えのお菓子、果物の詰め合わせなどは奇数の金額や個数となるようにしましょう。
神式では、お酒がお供え物として選ばれることもあります。キリスト教式では花以外のお供えがされることはあまりありません。

お供え品は中身が見えないように持参する

お供えの品は、ふろしきや包装紙、紙袋などに包んで持参しましょう。お渡しする時はふろしきや袋から出して、あるいはかけ紙がわかるようにお渡ししましょう。
かけ紙はのし無し、水引は双銀の結び切りを。表書きには「御供(ごくう)」「粗供養」と記します。

現金を包む場合に気をつけたいこと

ご供養料として現金を包む際は、白封筒を使います。表書きは仏式であれば「御霊前」「御供物料」、神式であれば「御神前」「御榊料」が一般的です。お相手の宗派がわからなければ「御供物料」で統一しましょう。相場はご仏壇参りであれば3,000円程度となります。お札は新札ではないものを用意します。
キリスト教は花以外を供える習慣がないため、命日の訪問時には特に現金をお渡しする必要はありません。ただし、お食事などのおもてなしを受けることがわかっている場合は、気持ちとして「お花料」をお包みすると良いでしょう。

訪問はせず供花だけ贈りたい場合

命日に都合がつかず訪問はできないが、供花だけでも贈りたい。そんな時は先方に花を贈りたい旨をご連絡し、先方のご希望の配達日時を確認したうえでお花をお届けしましょう。

遺族側として訪問を受けたら

故人と親しかった方々がお墓参りやご仏壇参りに来てくれた際は、お供え品や供花に対するお返しは特に必要ありません。現金をいただいた場合のみ、金額の3分の1程度の品物をお返しとして贈りましょう。訪問してくれた日から遅くとも一か月以内にはお礼状を添えたお返しをお送りします。
お返しを辞退された場合でも、お礼状はきちんとお送りしたいものです。

命日に行う法要について

法要とは

仏教では、故人が亡くなってからある一定の年数を経た祥月命日に年忌法要(法事)が行われます。これは追善供養の一種とされていますが、浄土真宗においては「仏法に触れる機会」としています。
行われるのは一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、三十七回忌、四十三回忌、四十七回忌、五十回忌、百回忌です。
一般的には、三十三回忌や五十回忌で弔い上げとなる場合が多いです。三十三回忌が過ぎるとどのような罪人であっても極楽浄土に行くと信じられており、さらにこの時点で故人が「ご先祖様」となり、特別な法要は必要なくなるとされているためです。なお、神道では三十三回忌が「荒魂(あらみたま)が祖霊になる」と定義されています。

命日の法要の起源

年忌法要は仏教だけではなく、中国の儒教もその起源に大きく関わっています。仏教では四十九日明け(忌明け)までは死者が現世とあの世の間をさまよっているとされています。同時に古代中国の儒教でもそう信じられており、加えて四十九日と命日から100日目にあたる百が日、一周忌、三回忌など、合計10回の区切りに死者は冥界の王に審判を受けるという十王信仰が普及していました。この審判の際、遺族による追善供養の功徳によって死者に良い結果をもたらすとされ、法要が広がっていったと言われています。

命日の法要で行うこと

年忌法要は、周忌によってその性格がやや変わります。
一周忌は、亡くなってから満1年ということで、近親者や故人の生前親しかった方々などを呼んで盛大に行われます。寺や自宅などで法要を行った後、会食を設けることが一般的です。この形式は三回忌まで続きます。
それ以降は年を経るごとにどんどん内輪になっていきますが、墓参りやご仏壇参り自体には、弔い上げや区切りはありませんので、そちらは変わらず行われていきます。
法要の流れは、菩提寺などにもよりますが、施主の挨拶の後に僧侶によって読経が行われ、その間参列者が焼香、そして僧侶の法話が行われるといった形式です。

卒塔婆供養

仏式では、命日の法要とともに卒塔婆供養を行う場合があります。卒塔婆とは、墓石の後ろに立てている1〜2メートルほどの高さの細長い木板のこと。梵語の「塔」という意味の「スツーバ(霊廟)」が語源です。お釈迦様の遺骨は八つの国に分骨され、そこに塔を建てたというインド由来の教えがあります。このことから、卒塔婆は仏塔(お釈迦様の遺骨を安置した仏教建築のこと)と似た役割を担ってきました。現在は亡くなった方のために追善供養の一環でこの卒塔婆を墓に立て、故人の成仏を願うようになっています。また「作成者の名前、作成日、梵字」などを彫ることで、卒塔婆を通して故人へと近況を報告できるとも言われています。
卒塔婆は複数本立つこともありますが、年数を重ねた古いものはお焚き上げが行われます。なお、浄土真宗では人は他界するとすぐに極楽浄土へ成仏するとされているため、卒塔婆を立てる風習はありません。

命日の法要に招かれた際に気をつけたいこと

施主やご遺族側ではなく、参列者として法要に招かれた場合に気をつけたいことをご紹介します。

案内状の返事はすみやかに

年忌法要の案内状がきたら、すぐに出欠の返事を出しましょう。返信用はがきを出した後、電話で挨拶するとより丁寧です。

命日の法要での服装

ご遺族であれば、一周忌までは正式な喪服を着用しましょう。三回忌も大々的に法要を営む場合は、喪服が望ましいです。それ以降は落ち着いたものであれば平服で構いません。参列者の案内状に「平服でお越しください」の一言があると親切です。
参列者側であれば、一周忌までは告別式などで着用した略礼装を、男性であればブラックスーツまたはダークスーツを着用しましょう。三回忌以降は落ち着いた平服とします。

供物料のマナー

供物料の金額は地域によって異なります。また、故人との関係性や、会食があるかどうかでも違ってくるものですが、香典の半額程度が一般的な目安となります。
水引が黒白または双銀の結び切りとなった不祝儀袋を使います。神道の場合は双白の水引を用います。関西の一部地域では黄白の水引を使うこともあります。
表書きには、四十九日以降であれば「御仏前」「御供物料」「御香料」と記しましょう。供物料はふくさに包んで持参し、当日、法要が始まる前にご遺族にお渡しします。新札は避け、折り目がついたお札を用意しましょう。

会食でのマナー

お亡くなりになってから間もない葬儀などとは異なり、祥月命日では和やかな雰囲気となることも少なくありません。故人との生前の思い出話を楽しむのが良いでしょう。

法要に欠席する場合

欠席はなるべく早く、お詫びの言葉を添えて返信用はがきを出しましょう。電話でも一報を入れ、欠席を詫びます。供物料は現金書留で、法要当日より前に届くように手配しましょう。供物料に関するマナーは法要に出席する時と変わりません。

仏式以外の宗教における命日の法要

神式の法要

神道における命日は「霊祭」と呼ばれ、一年祭、二年祭、三年祭、五年祭を行い、その後十年祭と五十年祭まで10年ごとに法要が催されています。五十年祭の後は百年祭となります。
墓前や自宅、斎場に神官を招いてご供養を行います。法要の流れは清祓いの儀、祝詞(のりと:神官が神様に捧げる霊力を宿した言葉)奏上、その後の玉串奉奠(たまぐしほうてん)でしめくくり、仏式同様に会食となります。
玉串とは榊(さかき)の枝に四手(しで)という紙片をつけたもので、神様が宿っているとされています。この玉串を故人に捧げる儀式が玉串奉奠です。

キリスト教式の法要

キリスト教では、魂は神のもとへと帰ると信じられています。そのため追善供養を目的とした法要はないのですが、故人に思いを馳せる追悼儀式は存在します。カトリックの場合は追悼ミサ、プロテスタントの場合は記念集会です。
没年月日も「命日」ではなく「昇天日」とされ、所属している教会で行われるミサ・集会の他、ご遺族の自宅で祈りを捧げます。
宗派にもよるのですが、仏式のような三回忌、七回忌と言った概念は大きくありません。ただしプロテスタントでは昇天日の一年後、三年後、七年後の節目に教会で記念集会を行います。

命日に贈る花 トップへ